U=Uとは
U=Uって何?
U=U(Undetectable=Untransmittable)とは、
- 抗HIV療法を継続することで、血中のウイルス量が200 copies/mL未満の状態を6ヶ月以上維持している状態のHIV陽性者は(「Undetectable:検出限界値未満」)
- 他の人に性行為を通じてHIV感染させることは一切ない(「Untransmittable:HIV感染しない」)
という、科学的に根拠づけられた事実を、わかりやく、そして世界的に伝えるメッセージです。
U=Uは、Undetectable=Untransmittableを略したものです。「Undetectable」は「検出限界値未満」、「Untransmittable」は「HIV感染しない」と日本語に訳すことができます。
現在、HIVに感染すると体の中から完全にウイルスを除去することはできませんが、HIVの増殖を抑える薬で治療を続け免疫力を保ち、これまでと変わらない社会生活を送ることができます。このような治療を抗レトロウイルス療法 (Antiretrovairal Therapy:ART)と言います。ここでは抗HIV療法と呼びます。
HIVの治療では、抗HIV療法を始めた後、個人差はありますが、1〜6ヶ月でHIVの血液の中の量を測る検査をしても見つからない状態までウイルス量を抑えます。こうして検査でHIVを見つけることができない状態を続けることが、現在の通常のHIV治療とされており、日本では検査で感染が分かっている多くの陽性者がこの状態を維持しています。
そして最低限、このようなHIVを検査で見つけられないくらい抑え込む状態を半年間続けたその後からの状態を「Undetectable 検出限界値未満」と呼びます(注:ちなみに、検査の精度は地域によって異なり、日本では20コピー/mLまで検査で見つけることができますが、世界的には200コピー/mL未満で「Undetectable 検出限界値未満」と呼んでいます)。
このような「Undetectable 検出限界値未満」という状態になっているということは、HIVに感染している陽性者にとって、治療が順調に進んでいる、ということを意味しますが、それだけではなく、もはや性行為によってはパートナーにHIVを感染させることは一切ない、ということも意味することが科学的に根拠づけられました。これを「Untransmittable HIV感染しない」状態と言います。どのように科学的に根拠づけられたのかは、<U=Uを支持できる根拠>をご覧ください。
HIVに感染すると、現在の医療技術では完全にウイルスを除去することはできません。しかし、抗HIV療法をきちんと継続し、「Undetectable 検出限界値未満」の状態を維持していれば、HIVに感染していない人と同じく、性行為によって誰にもHIVを感染させることはない「Untransmittable HIV感染しない」状態となります。性行為で感染しない、というのは異性間であっても同性間であっても、男性であっても女性であっても変わりません。例えば、男女間であれば、子どもが欲しいと思った場合、パートナーのどちらがHIV陽性であっても、感染していない人と何ら変わることなく、性行為で妊娠してもパートナーに感染は生じない、ということです。
ただし、U=Uが示しているのはHIVの性行為による感染リスクについてのみです。他の性感染症や、HIVによる主な感染経路のうち下記のものについては依然として感染可能性は残されています。
- 陽性者との注射針の共有
- 陽性者の母乳による授乳
*10 Things to Know About HIV Suppression. NIAID Now/November 14, 2017
https://www.niaid.nih.gov/news-events/10-things-know-about-hiv-suppression(2019年10月9日アクセス)