日本のU=U支持の動き
日本でのHIVに関する状況とU=U
日本では1980年代に初めてHIV感染者の報告がされてから、2022年末時点で、累積報告件数(凝固因子製剤による感染例を除く)は、HIV感染者23,863件、AIDS患者10,558件、計34,421件です(2022年エイズ発生動向)。年ごとの新規HIV感染者およびAIDS患者の報告数及び累計数の推移は図の通りで、ここ10年ほどは報告数が減少傾向となっています。
1980年代に日本国内でHIV感染者の報告がなされてから「エイズパニック」と呼ばれるHIVに感染している人に対する激しいバッシングやプライバシーなど人権を侵害する報道がなされ、文字通りパニックが発生しました。 その後抗HIV療法など治療技術が進みHIVに感染しても変わりなく社会生活を送ることができ、またそもそも学校や職場など社会生活の場では感染が起きないにも関わらず、HIVに感染している人は差別や偏見にさらされ、様々な不利益を受けてきました。ここ数年でも、HIVに感染していることが職場に知られたことで、職を追われたり、内定を取り消されたりするなどの事件が起きています。
日本はHIVに感染した場合の医療体制や社会保障体制に関しては世界的な基準からみて整備されていると言えますが、社会的な理解は十分とは言えないのではないかと思います。HIVに関する偏見や差別を解消し、HIV感染およびAIDS発症の報告数をいま以上に押さえ込むためにも、U=Uのメッセージが広く知られることが重要であると考えます。
*2022年エイズ発生動向年報
https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2022/nenpo/r04gaiyo.pdf (2024年2月2日アクセス)